わたし vol.2

心配する母をよそに

私は自分の部屋に飛び込みました。

そして深い眠りに。



ようやく目が覚めた時、

長くて怖い夢を見てたような気持ちになりました。


「夢だったのか…」  


昼間のできごとが現実だったのか夢だったのか。

本当にわからなくなっていました。

でも、ふと自分の左胸をさわると硬いものがある…。


やっぱり夢なんかじゃなかったんだ。

なんで夢じゃないんだ。

お願いだから夢っていってよ。




またしばらく泣きました。




それから数日間のことは覚えていません。

たしか妹のお誕生会もしました。

でも覚えていません。

どう過ごしてたのでしょうか…。




とりあえず時間は刻一刻と手術日に向かってました。

そのための術前検査を何日かにわけて受けていきました。




造影MRIを受けた時のことです。


1人座って検査室に呼ばれるのを待ってました。

ただただぼーーーっと。

ふと顔をあげると遠くに一緒に働いている職場の上司と

先輩が歩いてくるのが見えました。

ハッと我に返り立ち上がりました。



「隠れなきゃ!!」



心の中で叫んで、とにかく身を隠す場所を探していました。

その姿をみて普通じゃないと分かってくれたのか、

放射線技師さんと看護師さんが急いで私の姿を隠してくれました。




なぜ隠れたのでしょうか。


コソコソする必要なんて全くないのに。

悪いことなんて何にもしてないのに。

言い訳ならいくらでもできるのに。




とにかく

「知られたくない」

その一心で無意識にとった行動だったのかもしれません。




その後は姿を見られることもなく

造影CT、肺活量検査

心電図検査を受けました。


そしてPET-CTだけは県外まで受けに行きました。




先生からもらった紹介状を手に、

母と兄に付いてきてもらって

県外の病院へ行きました。


紹介状を渡しダサい検査衣に着替え

問診や採血をしたのち、

注射をしました。


そして約1時間休憩。


その後撮影に挑みました。

撮影は約30分。

でも終わってから15分の追加撮影がありました。


きっと悪いものがあったんだ…


すごく怖くなりました。

でも撮影中は動くことも泣くこともできませんでした。



撮影が終わってから1時間休憩。

かなり疲れたので眠っていました。


検査後、体調も変わりなかったので

そのまま終わりかと思えば、なんとご飯が‼


しかも豪華なステーキ御膳!!


この頃には食欲が戻っていたので、不安な気持ちもどこへやら。

おいしく頂きました(笑)





この頃、検査ばかり受けていました。


どれだけ検査を受けても

「がんじゃない」

という結果をもらうことができず、

検査を受ける度にがんだという事実に

心が崩れそうでした。


もしかすると、やっぱりがんじゃなかったよ。

っていう結果がでるんじゃないか。

だから、手術もしなくていいんだよ。


そういってもらえるんじゃないかと

淡い期待を持っていました。




でもどんなに検査を受けても受けても、いい結果がでません。



こんなに苦しくて痛い検査を受けているのになんで?



我慢して頑張っても何にもいいことなんてない。



世の中の全てが悔しくて、恨めしくて、嫌いで。

私の味方なんて誰もいないんだって思いました。